【詩】とどめ
弱い貴方が好き
下手に触れればそこから崩れてしまうような
とても弱い貴方が好き
弱さは強みになりうるから
貴方は私には勝てない
この国ではそう決まっている
私は貴方が羨ましくて
毎晩キスをするのです
貴方だけに伝える術は幾らとあるのに
貴方以外に伝える術が思い当たりません
いつか貴方を殺す日が来る
私は貴方を心底羨みながら
貴方にとどめを刺すでしょう
貴方は私を心底恨んで
その命を閉じるでしょうか
そして私は国を滅ぼす
文明の、私利私欲の、誰かの故郷の
すべての朽ちた丘の上で
煙草を一本ふかす
私は貴方には敵わない
そう決まっている