【短歌44首】ひまわり

上に伸びなさいまっすぐ咲きなさい【ひまわりの学校の校訓】 口笛が吹ければ楽しかったかな 毎日同じ坂を登って 生きるのが不安になって試験中確かめ続けていた脈拍 知ったふうな顔で行き交う 自殺防止のポスターの右へ左へ ぼくよりも先に生まれた十円玉5枚…

【詩】とどめ

弱い貴方が好き 下手に触れればそこから崩れてしまうような とても弱い貴方が好き 弱さは強みになりうるから 貴方は私には勝てない この国ではそう決まっている 私は貴方が羨ましくて 毎晩キスをするのです 貴方だけに伝える術は幾らとあるのに 貴方以外に伝…

星めぐり、ここは恒星

十八歳、初めて一人暮らしをするのに選んだ場所は、幼い時間を過ごした東京のはずれの街だった。 それから二年が経ち、僕は大好きなその街を出ていくことを決めた。 下のリンクが当時書いた文章である。この文章も、これを前置きとすると読みやすいかも。 ht…

僕がスピッツだったら

詩です。 * 僕がスピッツだったら 思い出をあてがわれて怒ってしまうだろう 僕はスピッツじゃないから きみにしか分からないように歌う きみにだけ分からないようにもできる 合言葉をつくろう 今日のことをすぐに思い出せる僕たちでいよう サニーデイ・サー…

俳句12句『それなりの』

それなりの覚悟を持つて恵方巻 息白したつた一人の馬鹿のため 春のチャリ目的よりも重んじて 歩つてくとだけ送つて雪解水 愛溢るコーヒーメーカーに埃 別々の街で産まれて若葉風 青葉のせゐにして歌はない校歌 紫陽花の隣で泣いてゐた記憶 噛み締めるほどで…

ライブハウスが嫌いだ

ライブハウスが嫌いだ。 ひとりぼっちで音楽を聴いているから。 ライブハウスが嫌いだ。 音量が大きすぎるから。 ライブハウスが嫌いだ。 知らない思い出が多すぎるから。 ライブハウスが嫌いだ。 考えなくていいことまで考え過ぎてしまうから。 ライブハウ…

ノンフィクション

外は撮影の準備で騒がしい。 まだシャッターの閉まった店の中で、僕はぴょんすこぴょんすこ踊っている。 誰も見ていないのをいいことに、仕事中にけっこう勝手なことをしている。お客さんがいればマスクの下で変顔をしてみたり、やがていなくなればそこそこ…

1

外出がままならず楽器屋にも行けない。1弦の切れたままのギターで、壁の薄い1Kで隣人に怯え、それでも歌うことをやめられない。そんなとき僕はどこまでも1人ぼっちで、1等賞だ。 令和2年2月。ぼくは慣れ親しんだ街から、憧れていた街へ引っ越した。ひとりで…

短歌8首『かっこいい大人』

生活に必要のない物を売る 命もひとつの持ち物である 僕たちが野垂れ死ぬ頃には歌も意味を持たなくなるのだろうか 濡れちゃいけないものだけをしまったらあとは雨音で踊る僕らだ 大きめの服を着るのが楽しくてかっこいい大人もたくさん見た いらないものをい…

まるとし

遅ればせながら、練馬のとんかつ屋さんのあまりにも悲痛な事件を知った。眠気で頭が痛かったから、少し寝るつもりで昼休みに家に帰った矢先の出来事だった。一睡もできるはずがなかった。結局頭が痛いまま職場に戻った。 【以下ネットニュースより引用】 『4…

あぽぺん

とにもかくにもこの世にはペンが多すぎる。LOFTの文房具売り場は、文房具の体積に対して広すぎないか。書くことが生活に占める割合は大きいと思うが、だからこそ文房具売り場はシンプルで良い。カラーペンはともかくとして、ボールペンはジェットストリーム…

父さんみたいになりたかった

血の繋がらない父と、初めて出会ったのは小学校三年生の時だった。 父は、「気にしない気にしない」と「まあいっか」が口癖で、明るく快活な、人によく好かれる人だ。ぼくは、自分の気持ちをうまく話せず、引っ込み思案で、おまけにずっと一人っ子だったのも重な…

短歌12首『鈍行』

生活に必要のないものを売る 命もひとつの持ち物である 花の名がわからなくとも戦った痛みを覚えている 歌人だ 笑うのがうまくなるほど笑うのがかなしくなってうるさい駅だ からっぽだ ペヤングで膨れた腹と十円玉で膨れた財布 星を見る 時にぼくらは両の目…

正義を定義することは正義ではないぞ

現実に打ちひしがれて、それでも夢を見ようとするのが本当の夢見がちだ。 どうにかなるさじゃどうにもならないから、じゃあ僕はどうすんのって考えるのが本当の前向きだ。 汚れた心に気付き恥じることが本当の純粋さだ。 敵や味方という概念こそが敵だ。 物…

ピンクのチーク

放っていて少し伸びすぎた髪を無理くり束ねて、パーカーを羽織る。引越して間もない部屋のドアを開ける。環七に出た僕のすっぴんの頬を撫でてゆく風は、まだ冷たいながらも春めいていた。 コンビニの棚はピンクに染まっていて、期間限定のさくら味とか、やた…

たらすたらしめる

男運のすこぶる悪かった母親に、よく「おまえは人に恵まれているから」と皮肉混じりに言われた。 確かに周りの人に恵まれていると自分でも思う。クラスで一番体が小さかったぼくは、人見知りがひどいくせ、ひとりでは何もできなくて、周りの支えがなければ立つ…

でかいカツカレーは頭痛が痛いと同義

よくわからないもの。例えばカツカレー。幼少期のぼくは、カツカレーという存在がよく分からなかった。昔からぼくは揚げ物が好きだ。特にコロッケ。もちろんカツも大好物だ。カレーライスも大好きだ。これから一生同じものを食べ続けなければならないとなっ…

放浪人

終わってたまるか。終わってたまるか。 そんな歌詞の流れるイヤホンを耳に突っ込んで、二月の国道を一人、自転車を押して歩いてきた。 終わってたまるか。終わってたまるか。 マフラーの中で呟きながら、確実に一歩ずつ前へ進む。向かい風が強くて、自転車に…

ぎりぎりアウト

午前3時。 これから外へ出なければならない人も、これから眠るのだという人も、根底では仲間なのだと思う。仲間という言葉を作った人たちはまだ、もう、眠っている。敵を作るから味方ができる。 2月3日、節分。僕もはたちになりました。 せめて日付が変わる…

起きるための眠り、歌のためのラブ

歌人に夜行性はいないというのは偏見だろうか。 すっかり夜型になってしまった。 この文章を書きはじめたのも午前2時半だ。一周まわって超朝型ということにしておこうかな。 体罰まみれの運動部だった頃は、朝練に行くのが辛すぎて毎朝5時に起きていた。誰も…

まっぱの心

冬が好きだ。 冬生まれだが、寒いのは得意ではない。寒いと何も考えられないし、何をする気も起きない。そもそも布団から出られない。脳みそも凍るのだと思う。いっぱい着ないと動けないし、いっぱい着ると動きづらい。生活のしやすさで言えば、夏の方が断然…

六畳の独房、五畳の惑星

二月に部屋の契約が切れるので、それを機に引っ越そうと思っている。この部屋で初めて一人で暮らし始めて二年が経つということだ。今日は内見に行って、新しい部屋を決めてきた。なんでも始めてしまえばすぐなもんだなぁ。 住みたかった街。家賃六万。風呂ト…

ロックンロールは鳴り止まないっ

若者あるあるかもしれないが、知った時にはもうこの世にいなかったというような人が何人もいる。 不可思議/wonderboyも初めて知ったのはここ数年のことだし、ともちゃん9さいも亡くなってしばらく経ってから初めて聴いた。何年も前の動画をYouTubeで漁ったり…

帰りはだいたい傘を忘れる

はてなブログさんはじめまして。 ぼくは、ちょっとカロリーの高いごはんをよく食べて、ちょっとカロリーの高い言葉をたまに書いて日々を過ごしています。今日はカレーにチーズを乗せて食べました。 誕生日まで一ヶ月を切りました。仕事に遊びに歯医者に忙し…